犬のマウンティングについて

ドッグランに連れて行くとほかの犬にマウンティングをするので困っている、という相談を受けました。「マウンティング」とは、犬がほかの犬のお尻に後ろから乗り、相手を押さえ込む行為のことを言います。

さらに腰を振る行為は「ペルヴィックスラスト」と呼ばれます。これらは交尾のときの行動として知られていますが、それ以外に、相手に対して自分の優位をアピールするために行われる場合もあります。そのためオスがオスに乗ったり、メスがオスに乗ったり、メスがメスに乗ったりすることもあるのです。

自分が乗れるかどうか、楽しみながら試しているように見えることもあります。相手が怒ったら乗るのをやめますが、怒り方が中途半端だったりするとあきらめないこともあります。

また、人間にする場合もあります。人をバカにしているとか、犬のほうが優位になっていると言われますが、多くのケースを見てきた経験から、私にとっては「飼い主をからかっている」と解釈するのがいちばんしっくりきます。

また、オス犬が女性の飼い主さんにする場合には、性的な刺激の影響もあるようです。飼い主さんが生理中に反応しやすいというケースもありました。

わが家の愛犬たちは、私にマウンティングはしません。しようとしたこともなかったように思います。ほかの犬にマウンティングをされると「ガウッー」と怒ります。犬たちがそんなふうに「やめて!」とメッセージを送る意味でうなるときは、叱らないでほしいと思います。

相手の犬は空気を読んでその行為をやめてほしいのですが、やめないことも多くあります。そうなったら、飼い主がコントロールしてやるべきでしょう。「ダメでしょ!」というよりは、「空気を読みなさい!」という気持ちを込めるのが適切かと思います。

私は、犬にマウンティングされるのは気分がいいものではないので、させないようにしています。具体的には身をかわしたり、顔に向かつて低い声でうなるまねをしたりします。首輪が付いているときは、首輪を強めにつかんでこちらの態度を示し、下ろします。毅然とした態度ですれば、それくらいでやめさせることも可能です。

マウンティングしている犬たちの様子を観察していると、それほど悪気がある行為とは思えません。元々ある習性や本能からくる行動は、犬にとっては必要なものだと考えています。

ただ、人間のものさしで考えると見苦しいと感じますし、自分や自分の犬がされたらあまりいい気持ちはしませんので、マナーとしてマウンティングをさせないようにコントロールする必要性は高いと思います。

ドッグランに放して、ほかの犬に対してマウンティングをしようとしたら、呼び戻すようにすればいいのです。それだけで相手の犬に乗ってしまうことを防げます。「マウンティングをするな!」と叱るのではなく、「そんなことしてないで戻って来い!」と指示するのです。

もしも愛犬がほかの犬にマウンティングする可能性があり、呼び戻す自信がないのであれば、ドッグランに連れて行くべきではないと思います。どうしても行きたい場合には、いくつか気を付けるべき点があります。

まず一緒に遊んでいる犬たちの飼い主さんに、愛犬がマウンティングすることに関して了解を得ること。一緒にドッグランを使っている飼い主さんたちがみな「うちの犬はマウンティングされても大丈夫だし、私たちも気にしませんよ」という人なら問題にならないと思
いますが、「それはちょっとご遠慮願いたい」という人がいるのならドッグランに放すべきではないでしょう。

また、飼い主さんが大丈夫でも犬が嫌がっているようであれば、やはり放すべきではありません。これは犬の問題というよりは、人としての良識の問題です。

友人のドックトレーナーが扱ったビーグルは、初めて行ったドッグランでマウンティングされても嫌がる様子がなかったので放っておいたら、次に連れて行ったときは、ドッグランにいるすべての犬に吠えかかったそうです。そのビーグルは、すごく嫌だったのに前回は我慢していたのでしょう。

ジャックのコントロールカを上げるために、飼い主さんにはベースプログラムを実施してもらいました。そして、家の中とドッグランでの呼び戻しのトレーニングを徹底的に行うようお願いしました。

幸いジャックはおやつが大好きだったので、呼び戻しのトレーニングは順調に進み、今ではマウンティングをしそうになっても呼び戻しで防げるようになりました。

その姿は、ドッグランに来ている飼い主さんたちから賞賛を浴びるほどだそうですが、最近のジャックは、マウンティングをするそぶりを見せながらチラチラと飼い主さんを見るようになったそうです。もちろん、おやつ目当てであることは言うまでもありません(笑)。