柴犬の拾い食いについて

私が思う「犬との理想の散歩」とは、多少犬が引っ張っていても、飼い主さんが「ねえ」と呼びかければ、犬は「なあに?」と振り向いてくれる。飼い主さんが立ち止まって、待っているようにお願いしたら、犬はじっとしていてくれる。そんな、お互いを気にし合って、一緒に歩けているような散歩です。

散歩しているとき、愛犬には臭いや音、景色、動くものを楽しんでほしいと思っています。もちろん、危険のない範囲でコントロールできるという条件のもと、です。

拾い食いに関しては、犬の本能から考えれば自然なことだと思います。野生の犬たちだったら、獲物が捕れなかったときや小腹が空いた(?)ときに食べられそうなもの(木の実や虫など)が落ちていれば、それを拾って食べるはず。むしろ食べられるものが落ちているのに全然興味を示さないほうが、本来の犬の姿としては不自然だと思うのです。

でも飼い主さんとしては、落ちているものを食べてほしくない。拾い食いをやめさせるためには、まず「拾い食いはできない」と学習させることがポイントです。そして、拾わない習慣をつけることも重要。

お散歩中の拾い食いで困っている飼い主さんはとても多いですが、「拾わないことを学習させなければならない」ことを理解している方は少ないように思います。柴犬の『はな』の飼い主さんもそうでした。

「拾い食いが直らなくて困ってます」という相談を持ちかけるということは、これまでにたくさん拾っているということですね。どんなものを拾って食べた経験があるか聞いてみると、出るわ出るわ(笑)。葉っぱに乾いたミミズの死骸、タバコ、何かの実、フライドチキンの食べ残し、猫の糞などなど……。

幸い、これまで大事に至っていないようなので、はなはずいぶんお腹が強いのかもしれません。とは言え、それほどたくさん拾わせてしまったということは、飼い主さんのリードさばきに問題がありそうです。

犬にとって気になるものが手に入ったら、それは「成功報酬」となります。この成功報酬は、もちろん犬を喜ばせてしまいます。喜ぶようなことが起きると、犬はその行動を繰り返すように。こうして学習し、さらに繰り返すことで習慣として定着していくのです。

はなの場合には、これまでに相当いろいろなものを拾って、かなりいい思い(?)をしていると思われます。トレーニングを始めたら、飼い主さんが「もう絶対に拾わせない」という強い意志を持つことが大切です。うっかりまた拾わせてしまうと、「がんばれば拾える」という、大変ありがたくない学習になってしまうからです。

具体的な方法としては、まずリードを短く持ちます。ぎりぎり首を吊らないくらいのところでしっかりと握ります。その腕が前や横に出たり、上がったり下がったりしないように、体の横でできるだけ固定します。

犬が首を下げて臭いを嗅ごうとしたら、飼い主さんは立ち止まって、リードをちょいちょいと真上に引き上げ、こちらを見てくれるまで名前を呼びます。目が合ったら、おやつを与えます。

これを繰り返していると、犬は「何か見つけて臭いを嗅ごうとすると飼い主がリードをちょいちょいしてくれて、おやつがもらえる」と学習します。拾おうとしたものよりもおやつのほうが魅力的であれば、拾う行為はすぐにやめるでしょう。そのうち名前を呼ばれなくても、「ちょいちょいされるとおやつがもらえる」と思って飼い主さんの顔を見てくれるようになるはず。「何かが落ちていると、飼い主さんがリードをちょいちょいしてくれる」と学習したら、ちょいちょいしなくても顔を見上げてくれるようになります。

犬が頭を下げて地面の臭いを嗅ごうとしたり、拾おうとしたときに「ダメ!」などと言う必要はありません。どうせダメと言われても、拾える可能性がある限りやめませんし、「ダメと言われても拾える」という学習になるだけです。ムダなエネルギーは使わず、ただ淡々と、首輪(あるいはジェントルリーダ古を引き上げればよいのです。

これを続けて、臭いを嗅ごうとしたり、拾おうとしなくなってきたら、おやつを与えるのは、何回かに1回に減らしましょう。与えないときは、声でほめてやるようにします。なでられるのが好きな犬は、なでてやるのもよいでしょう。ある程度の時間はかかるかと思いますが、やがておやつはいらなくなります。最低でも1ヵ月は続ける覚悟で取り組んでください。

はなの飼い主さんには、それと並行して飼い主と愛犬の正しい関係を作る柴犬のしつけを3週間実施してもらいました。

外でのトレーニングを始めると、食いしん坊のはなはすぐに名前を呼ばれるとおやつがもらえることを理解。「こつちのほうがおいしい!」とばかりに、たびたび私の顔を見上げるようになりました。それはそうですよね。乾いたミミズより、チーズのほうがおいしいと思いますし、がんばつて見つけて拾わなくても、顔を見上げるだけで、チーズがもらえるのですから。

リードを飼い主さんに渡すと、はなはふだん通り拾い食いをしようとしましたが、やはりすぐに「名前を呼ばれて顔を見上げればチ-ズがもらえる」ことを理解し、うれしそうに顔を見上げるようになりました。

はなはこのトレーニングを気に入ったようで、拾い食いをやめるまでに、そう長い時間はかかりませんでした。おやつはだんだん減らしていき、そのうち必要なくなると思います。ただし柴犬という犬種は、とくに臭いを嗅いだり、拾い食いをするのが好きなようですので、たまに与えてやったほうが良いかもしれません。お互いそのほうが安心ですし、きっと楽しい散歩になることでしょう。

 

犬のマウンティングについて

ドッグランに連れて行くとほかの犬にマウンティングをするので困っている、という相談を受けました。「マウンティング」とは、犬がほかの犬のお尻に後ろから乗り、相手を押さえ込む行為のことを言います。

さらに腰を振る行為は「ペルヴィックスラスト」と呼ばれます。これらは交尾のときの行動として知られていますが、それ以外に、相手に対して自分の優位をアピールするために行われる場合もあります。そのためオスがオスに乗ったり、メスがオスに乗ったり、メスがメスに乗ったりすることもあるのです。

自分が乗れるかどうか、楽しみながら試しているように見えることもあります。相手が怒ったら乗るのをやめますが、怒り方が中途半端だったりするとあきらめないこともあります。

また、人間にする場合もあります。人をバカにしているとか、犬のほうが優位になっていると言われますが、多くのケースを見てきた経験から、私にとっては「飼い主をからかっている」と解釈するのがいちばんしっくりきます。

また、オス犬が女性の飼い主さんにする場合には、性的な刺激の影響もあるようです。飼い主さんが生理中に反応しやすいというケースもありました。

わが家の愛犬たちは、私にマウンティングはしません。しようとしたこともなかったように思います。ほかの犬にマウンティングをされると「ガウッー」と怒ります。犬たちがそんなふうに「やめて!」とメッセージを送る意味でうなるときは、叱らないでほしいと思います。

相手の犬は空気を読んでその行為をやめてほしいのですが、やめないことも多くあります。そうなったら、飼い主がコントロールしてやるべきでしょう。「ダメでしょ!」というよりは、「空気を読みなさい!」という気持ちを込めるのが適切かと思います。

私は、犬にマウンティングされるのは気分がいいものではないので、させないようにしています。具体的には身をかわしたり、顔に向かつて低い声でうなるまねをしたりします。首輪が付いているときは、首輪を強めにつかんでこちらの態度を示し、下ろします。毅然とした態度ですれば、それくらいでやめさせることも可能です。

マウンティングしている犬たちの様子を観察していると、それほど悪気がある行為とは思えません。元々ある習性や本能からくる行動は、犬にとっては必要なものだと考えています。

ただ、人間のものさしで考えると見苦しいと感じますし、自分や自分の犬がされたらあまりいい気持ちはしませんので、マナーとしてマウンティングをさせないようにコントロールする必要性は高いと思います。

ドッグランに放して、ほかの犬に対してマウンティングをしようとしたら、呼び戻すようにすればいいのです。それだけで相手の犬に乗ってしまうことを防げます。「マウンティングをするな!」と叱るのではなく、「そんなことしてないで戻って来い!」と指示するのです。

もしも愛犬がほかの犬にマウンティングする可能性があり、呼び戻す自信がないのであれば、ドッグランに連れて行くべきではないと思います。どうしても行きたい場合には、いくつか気を付けるべき点があります。

まず一緒に遊んでいる犬たちの飼い主さんに、愛犬がマウンティングすることに関して了解を得ること。一緒にドッグランを使っている飼い主さんたちがみな「うちの犬はマウンティングされても大丈夫だし、私たちも気にしませんよ」という人なら問題にならないと思
いますが、「それはちょっとご遠慮願いたい」という人がいるのならドッグランに放すべきではないでしょう。

また、飼い主さんが大丈夫でも犬が嫌がっているようであれば、やはり放すべきではありません。これは犬の問題というよりは、人としての良識の問題です。

友人のドックトレーナーが扱ったビーグルは、初めて行ったドッグランでマウンティングされても嫌がる様子がなかったので放っておいたら、次に連れて行ったときは、ドッグランにいるすべての犬に吠えかかったそうです。そのビーグルは、すごく嫌だったのに前回は我慢していたのでしょう。

ジャックのコントロールカを上げるために、飼い主さんにはベースプログラムを実施してもらいました。そして、家の中とドッグランでの呼び戻しのトレーニングを徹底的に行うようお願いしました。

幸いジャックはおやつが大好きだったので、呼び戻しのトレーニングは順調に進み、今ではマウンティングをしそうになっても呼び戻しで防げるようになりました。

その姿は、ドッグランに来ている飼い主さんたちから賞賛を浴びるほどだそうですが、最近のジャックは、マウンティングをするそぶりを見せながらチラチラと飼い主さんを見るようになったそうです。もちろん、おやつ目当てであることは言うまでもありません(笑)。

 

友達ができない犬

『フーラ』が生後2ヵ月ちょっとでわが家に来たときには、『ロック』(8歳)、『コタロー』(6歳半)、『アクセル』(3歳)という3頭のオスがいました。

フーラが来てからは4畳半くらいの子犬部屋を作り、遊ぶときはそこを使うようにしました。成犬が飛び越えられるくらいの低めのフェンスで囲ってあるのですが、私がフーラと遊んでいても、最初ほかの犬たちは入ってこようとしませんでした。入ってきても、子犬のニオイを嗅いですぐに出ていってしまいます。

1週間すると、まずアクセルが積極的に入って来るようになりました。フーラをひっくり返して押さえつけたり、マズルをくわえたり。この段階では、アクセルが一方的にフーラに仕掛けている感じでした。それが1週間くらい続いた後、今度はアクセルがひっくり返ってフーラにお腹を見せるしぐさを見せ始めました。

多頭飼いの飼い主さんから、「先住犬が子犬にお腹を見せたのですが、負けてしまったのでしょうか?」と質問されることがありますが、そうではありません。これは人間の大人が子どもと遊んであげるのと同じで、わざとひっくり返ってあげているのです。動物行動学によると、お互い同じことをすることで遊びが成り立つとされています。つまり、上になるけど下にもなる、噛みつくけど噛まれてやるなどがそれに当たるでしょう。

それからは、アクセルとフーラの2頭はとてもよく遊びました。アクセルは子犬のフーラにボールを投げてやっては追いかけるように促したり、大きめのぬいぐるみを持っていってフーラにくわえるよう差し出して引っ張りっこを教えたりと、熱心に遊んでやっていました。

アクセルは、子犬のころコタローに遊び方を教わりました。フーラが子犬を5頭産んだときも、母犬であるフーラではなく、ほとんどアクセルが遊びを教えていました。アクセルの子犬育てはとても興味深いものでした。

フーラを迎えてから、彼女の社会化のためにパピーパーティーを開催することにしました。フーラには3頭の同居犬がいましたが、群れになった犬と仲良くできてもそれは社会化とは言いません。「うちは多頭飼いだから、犬に対する社会化はできています」と言う飼い主さんがいますが、それは間違っていると言っていいでしょう。実際には、お散歩中に2頭そろって相手の犬に思いっきり吠えかかってしまうというケースは多いのです。それでは社会化ができているとは言えません。

群れの犬と仲良くできることと、初対面の犬とちゃんとあいさつができるのは、別の問題なのです。

フーラの社会化を意識したパピーパーティーでしたが、本犬はかなりブルーなようでした。ほかの子犬たちとまったく遊ぼうとしません。集まってくれた子犬たちのなかには、相性が良さそうな相手を見つけて遊び始めている子犬もいるというのに、結局フーラは最後まで誰とも遊べませんでした。

そのときふと、フーラから「うちには大好きなお兄ちゃんたちがいるのに、なんで知らない犬と遊ばなきやいけないの?」というメッセージをもらったような気がしたのです。群れには3頭の犬たちがいて仲良く遊べるのだから、ほかの群れの知らない犬たちと遊ぶのは、じつはナンセンスなのかもしれません(群れのメンバーには、もちろん飼い主さんも含まれます)。

そんなフープも大人になりました。自らケンカをしかけることはしませんが、しつこく近づいてくる犬には「ガウッー」とやります。これは「来ないでっI」と言っているようです。フーラのこの態度は、社会化ができていないことによるものなのでしょうか?それは違うと思います。フープは、その犬に近づいてほしくないから、「来ないで!」と伝えただけだと思います。

相手が空気を読まない感じで近づきすぎたときに「嫌だ」と意志を表明するのは、メスに多いように感じます。「種」と「畑」の違いでしょうか。メスは好きでもないオスに近づかれたとき「来ないで」と言う権利があると思うのです。そしてそういうときのオスは、めったに怒りません。「失礼しました~」という感じで離れていくことが多いようです。ちなみにオオカミのオスは、絶対にメスを噛んだりしないそうです。

「犬の問題行動」とは、飼い主が困っていたり、他人に迷惑をかけたりする行動を指します。私はフープの行動に困ってはいません。人にうなることはありませんので、迷惑をかけることもありません。フーラがハッピーじゃないから、基本的にお散歩中にほかの犬へのあいさつはしない主義ですが、なかには自分の犬を寄せてくる飼い主さんもいます。

そういう場合は、ひと言「気に入らないと、ガウッてしますよ」と断っておくようにします。でないと、後で文句を言われたりする可能性があるからです。

お客さまから聞いた話ですが、怖がりのチワワの散歩をしていたら、ノーリードのゴールデンーレトリーバーがいきなり近づいてきたので、恐怖のあまり吠えてしまったら、「何てしつけができてない!」と言われてしまったそうです。吠えないようにするトレーニングも可能ですが、限度はあります。「絶対に悲鳴を上げてはダメ!」と言われてお化け屋敷に入る勇気、ありますか?

そもそも、ノーリードは条例違反です。社会のルールを守るという「しつけ」ができていないのは、このゴールデンーレトリーバーの飼い主さんのほうではないでしょうか?

犬が苦手で嫌いな人だっているのです。小さくてかわいらしいトイープードルだって、怖い人にとっては怖いのです。愛犬をノーリードにするということは、その人たちへの気遣いをしていない、ということになるのではないでしょうか。

今でもフーラは、ドッグランに連れて行っても楽しそうではありません。私の足下で「帰りたい」と訴え続けます。K9ゲームに出場するために山中湖のロッジに泊まったときも、コタロー、アクセル、アトラスは、一緒に泊まっていた友人たちにおやつをもらったり、連れの犬たちとふれ合ってみたりと忙しく動き回っていたのですが、フーラだけは八ウスに入って「そっとしておいてオーラ」を出していました。

成熟したメスとしては、自然な行動のようにも思います。そういう犬生も、ありだと思います。私は、そんなフーラを受け入れたいと思っています。

 

多頭飼いのコツ

最初に飼い始あた柴犬の『ロック』が1歳半になったころ、仕事が忙しくなった私は、あまりロックをかまってやれなくなりました。ロックが寂しいだろうと、2頭目の犬『コタロ-』を迎えることに。ところが、コタロ-は遊びたくてしかたないのに、ロックはあまりうれしそうではありませんでした。

ちょっと後悔しましたが、ロックが亡くなるまで2頭はいつも寄り添っていましたので、結果オーライだったと信じています。何ど言っても、犬は群れで生きる動物ですから……。

しかし、安易に多頭飼いをするのはおすすめできません。いろいろな飼い主さんのケースを見てきて、飼い主さんを独占して1頭で生活していくほうが幸せな犬もいると思ったからです。

ロックが4歳半、コタロ-が3歳を過ぎたころ、私は訓練所を辞めました。体罰を使わず、教めった方法で子犬を育ててみたいと思い、3頭目の『アクセル』を迎えました。

アクセルは、ロック、コタローと同じくらい、あるいはそれ以上に性質のいい犬に育ってくれました。

幸い、コタロ-とアクセルはとてもよく遊びました。ロックは相変わらず知らんぷりでしたが(笑)、コタロ-はよく毛づくろいをしてアクセルの世話をしたり遊んでやったりしていました。コタローは今でも群れのメンバーの世話を焼くのが好きです。

アクセルが3歳になったころ、しつけのアドバイスをする上で、どうしても犬の子育てを見てみたいと思い、『フーラ』を迎えました。初めて飼うメス犬です。2007年、ブリーダーの指導のもと、フーラは元気な5頭の子犬を産んでくれ、新米母さんなりにがんばって子育てを見せてくれました。

フーラが生んだ5頭の中の1頭が、わが家に残った『アトラス』です。生まれてからずっと付き合えたおかげで、変化の大きい誕生から6ヵ月齢までの時期はもちろん、反抗期真っただ中、そして4歳になる今までの成長を観察できたことは、ドッグトレーナーとしてもとてもすばらしい経験になりました。

多頭飼いは、うまくいけばとても楽しいものです。ある意味、そうあるべきとも感じるほどです。

わが家の群れの様子を見ていると、もう1頭だけで飼うことは考えられません。犬同士が遊んだり、かまいあったりしている様子を見ることは、本当に楽しいんですよね。

このように多頭飼いは楽しいものですが、トラブルが起きる場合もありますので、プロのアドバイスを受けられることをお勧めします。指導してもらうドッグトレーナーは、多頭飼いをしたことがある人を選んでください。とくにオス同士の多頭飼いをしたことがあるのは必須で、そこにメスが入っていればなお良いです。オス同士、メス同士、混合の群れでは、少しずつコツが違ってきますから これから群れを増やしてみたいと思っている方に、いくつかアドバイスさせていただきます。

ポイント①どこから子犬を手に入れるか?

犬は群れで生活して生きてきた動物なので、ある意味多頭飼いは自然なことです。しかし、生まれてまもなくペットショップのガラスケースに入れられるなど、本来あるべき環境を与えられなかった子犬は、同じ種であるはずのほかの犬への順応力がついてない場合があります。

優良なブリーダーさんから、飼い主さんのもとに来るまでの時間を犬のなかで過ごした子犬を手に入れることがお勧劭です。

ポイント②飼い主さんと犬たちとの関係

何頭増やしたとしても、1頭1頭と飼い主さんがしっかりとした関係を築くことが大事です。

飼い主さんが決定権を持ち、犬同士のケンカなどをきちんと仲裁できないようでは不安が残ります。飼い主さんが、群れの管理をしっかりとできる存在になる必要があると思います。

ポイント③性格と性別

性格は似ているほうが仲良くなれる可能性が高いですが、似ていなくてもお互いに良い影響が出る場合があります。

性別に関しては、オス同士、メス同士でトラブルが起きるケースが比較的多いように感じます。しかし逆に、オス同士やメス同士でも仲良くできる場合もあります。

オスとメスならトラブルが少ないようですが、もちろん例外もあります。去勢していないオス同士は、少々注意が必要かもしれません。

ポイント④年齢差について

それほど気にする必要はないと思います。幼いうちは年齢が近いほうがよく遊べますが、亡くなる時期が同じくらいになるので、飼い主さんにとってつらいことになる可能性もあります。

年が離れていても、うまく遊べることもあるようです。また、先住犬が年を耿ってから子犬を迎えたケースでは、先住犬が若返ったという話を多く聞さます。

ソファに乗れなかったのが、「若い者にはまだまだ負けんわい!」とでも言うかのように、軽々と飛び乗るようになった犬がいました。

おかげさまで、わが家の『コタロ-』も、12歳のわりには若々しいかと思います(親バカです)。

そっと見守ることも必要

ふだん愛犬をドッグランに連れて行くことはめったにない私ですが、友人たちに誘われてドッグランを貸し切り、当時6ヵ月齢の『アトラス』を連れて行きました。

アトラスは友人の愛犬『ジーコ』が気になるようで、一生懸命遊びに誘っていました。でも、怖がりのジーコは腰が引けて、アトラスがちょっと追い回すとお腹を出してじっとしてしまいます。そこヘジャック・ラッセルーテリアがやってきてジーコを追いかけ始めました。ジーコがお腹を出しても降参してもあきらめずに、しつこくニオイを嗅いだり、前足で引っかいたりしています。

するとジーコは飼い主さんの足下に逃げ込みました。すぐにひょいと抱き上げて助ける飼い主さん。子犬のころからそんなふうにしてきたのだと思いますが、そのことが、もともと臆病そうなジーコがはかの犬と遊ぶことを覚える機会を奪ってしまった可能性がありました。

生まれつき怖がりな性質で、極度に怖がっているような場合には、飼い主さんの助けが必要なときもあります。でもジーコの様子を見ていると、子犬のころにもっと上手に慣らしてあげられたらもっと遊べるようになったのではないかと感じました。

怖がりな子犬は、まずは怖がりな子犬同士か、しつこくしすぎず遊ぶのが上手な子犬や成犬と一緒に遊ばせると慣れるのが早くなります。心配だとは思いますが、できるだけ手を貸さないで見守ってやってください。

以前、「先住犬が子犬をいじめるので困っている」という相談でご自宅に悁ったケースがありました。実際にその2頭を遊ばせてみると、ほんの少し接しただけで飼い主さんが子犬を抱き上げてしまうのです。なぜ抱き上げたのか理由を聞いてみると、「今、先住犬が耳を噛んだので、傷がないか確認しようと思って」とのこと。でも先住犬は、子犬に対して甘噛みをしていただけでした。

口を使って噛みついて遊ぶのが犬のやりかたです。どう見ても犬たちはただじやれているだけでした。この程度でびっくりしてしまう飼い主さんもいるんだ、ということでとても勉強になったケ-スでもありました。

わが家ではアトラスが子犬のころ、プロレス遊びをしているときにたびたび悲鳴を上げることがありましたが、成犬になってからはありません。あれは彼の学習期だったのだと思いますが、ただ一度だけ仲裁したことがありました。

『アクセル』がアトラスに噛みついて。アトラスの悲鳴がいつもより大きかったので止めたのです。止めた理由は、アトラスの悲鳴というよりは、アクセルが珍しくイライラしているように感じたからでした。仲裁した後、アクセルを静かに抱いて落ち着かせました。その後は、遊びのなかでアトラスが悲鳴を上げたことは一度もありません。

犬たちの様子を観察せず、あまり過保護に助けてしまうと「悲鳴を上げたら助けてもらえる」と学習することもあり、何ということもないのに大げさに悲鳴を上げるようになって、それが社会化の妨げになることがあります。

ドックランで出会ったジーコは、飼い主さんに対する依存が少々強く、またかなりの。演技派・だったので、まず飼い主さんには犬との正しい関係を作るベースプログラムを実施してもらいました。

ジーコはまだ1歳と若かったので、「元気すぎない犬友達」を誘ってドッグランを貸し切り、飼い主さんにはできるだけ助けずに見守るようお願いしました。その後は、根気よくドッグランに通ったことと犬友達の協力のおかげで、ジーコはだいぶほかの犬とも遊べるようになったそうです。

今でも元気すぎる犬は苦手なようですが、苦手な犬と無理やり仲良くしなければならない必要なんてないと思います。ちなみに私は、苦手な人とは一緒にいたくないですね(笑)。

 

ケンカの仲裁はしてもいい?

多頭飼いをしている場合、犬同士のケンカを止めていますか?

すぐに止める、あるいは「犬同士のことだから」と止めるのをためらう飼い主さんもいるでしょう。自分の飼っている犬同士がケンカを始めた場合、どのように対処ればいいのでしょうか。

わが家の『アクセル』が6ヵ月齢を過ぎたころ、3歳の『コタロー』と遊んでいるうちにだんだん興奮してきて、じゃれ合いが激しくなることが多くなりました。

ある日、あまりにガウガウうるさくてテレビの音が聞こえないので、「やれやれ、そろそろ止めようか」と立ち上がろうとしたそのとき、当時の長男犬『ロック』(4歳半)が飛んできて「ワン!ワン!」とふた声吠えました。

するとケンカは見事に中止。犬がケン力の仲裁をするのを、このとき初めて見ました。我に返った2頭は一度離れて気を取り直してから(?)、またいつも通りに遊び始めました。

犬が仲裁するくらいですから、飼い主さんが止めてもいいでしょうし、またすべきだと思います。

仲裁の仕方としては、シンプルに、「うるさい!やめろ!」という気持ちで受け止めるのがよいと思います。諭すならば、年下の犬に対して「お兄ちゃんに逆らうな!」という気持ちを込めるのがお勧めです。

しかしロックの仲裁も、群れのなかで起きたケンカと群れ以外のメンバーとのケンカでは事情が違うようです。同じ柴犬を飼っている友人宅へ遊びに行ったときのことでした。まだやんちゃ盛りのアクセルと、友人の柴犬のプロレスごっこが興奮しすぎてケンカになりそうになると、ロックが飛んできて友人のシュナウザーに吠えかかりました。明らかにアクセルを援護しているように見えました。

私も多頭で飼い始めたばかりのころは、どのくらい興奮したら止めればいいのか戸惑いがありましたが、今ではよほどの様子でない限り止めないことにしてみました。幸い今まで、犬がケガを負ったことは一度もありません。

かなりの迫力で吠え合い、かじり合うのに、ケガをしないのは不思議なくらいです(ただしこれはわが家の群れのケースで、ほかの群れの犬とは事情が異なることもあるかと思います)。

犬が攻撃的に噛みつくときは、一瞬で相手にかなりの傷を負わせることができます。場合によっては殺してしまうことだってできるのです。

以前、レッスンしたことのある柴犬の『ナイト』は、ご主人と一緒に公園のベンチで休んでいたところを、リードが外れてしまったゴールデンーレトリーバーに飛びかかられたことがありました。ナイトの体重は10数キロ。去勢をしていない強いオスで、一瞬でゴールデンの後ろ足を軽く食いちぎってしまいました。

ナイトの弁護をするなら、これは明らかに正当防衛なのですが、オス同士の事情があったのでしょう。ナイトが悪いわけでも、ゴールデンが悪いわけでもないと思います。ちなみにナイトは、人に噛みついたことはありません。

この事故以来、そのゴールデンはナイトとすれ違うとき、首を下げ、目をそらしてトボトボと歩くようになったそうです。ナイトはゴールデンの存在を気にするそぶりをまったく見せないそうです。

失うものはありましたが、オス犬同士の和解が成立したようです。

どちらも潔ぐて、かっこいいと思います。「覚えてろよっ!」なんて物騒なことを言うのは、人間だけかもしれませんね。